タックのたたみ方、縫い代の付け方、使用例などについて紹介します。
タックは、スカートのウエスト部分や、Yシャツの背中や袖口などにもよく使われる仕様です。それ以外にも敢えてデザインとして使われたりもします。
タックを上手く取り入れられるようになると、服に適度なゆとりを持たせたり、デザインのアクセントにしたりと、服作りの幅が広がります。
名称 | タック |
概要・役割 |
|
関連・類似 手法 | ダーツ 、 ギャザー 、 プリーツ |
説明の画像では、説明に必要な部分のみを四角に切り取った布で撮影しています。
また、見えやすくする為にあえて違う色の糸を使用しています。
目次
1・タックの印しの意味
1-1・ タックの印しについて
2・タックの種類(形)と使用例
3・タックの型紙|修正をする & 縫い代をつける
4・片ひだタック|印の写し方 & 縫い方
4-1・ 基本のタックの縫い方
4-2・ 中縫いのタックの縫い方
5・ボックスタック|印の写し方 & 縫い方
5-1・ 基本のボックスタックの縫い方
5-2・ 中縫いのボックスタックの縫い方
6・つけ布の付け方
タックの印しの意味
タックの印しについて
タックには、「斜めの線」が書かれています。
この斜線は、高い方から低い方へたたむ、と言う意味になります。
タックの印について
- 斜線の高い方から低い方へたたむ。
- 両端の線同士を合わせてたたむ。
下の画像のように、タックの印は、型紙によって印の形が多少異なる場合があります。両端の2本の線だけのものや、中央の折り目になる線もある場合や、斜線の本数が1本だったり複数であったり…。
ただ、その場合も、基本的な折り方は同じです。斜線の高い方から低い方へ、両端の線を重ねるように折り畳みます。
タックには「中縫い」のタックもあります。
タックの途中(縫い止まりの印)まで、中縫いのステッチをするタックのことです。
途中まで中縫いをすることで、タックのボリュームが出過ぎないように抑えることができます。
あまり、ふんわりさせたくない時などに使用されます。
たたみ方自体は、普通のタックのたたみ方と同じです。
タックの種類(形)と使用例
タックにはいくつか種類(形)があります。
片方に倒すだけのタックは「片ひだのタック」と呼ばれます。
そして、下の画像のようなタックは「ボックスタック」と呼ばれます。
組み合わせ方次第で、いろいろなデザインを表現することができます。
タックの型紙|修正をする & 縫い代をつける
カーブなど曲線にタックを入れる場合の、縫い代の付け方について、説明します。
型紙のタック部分を、実際に縫った場合と同じになるように、たたみます。
- 斜線の高い方から低い方へ、たたみます。
- タックの両端の線同士を合わせてたたみます。
型紙の補正をします。(赤い線の部分)
タック部分を折り畳んで突き合わせた出来上がり線の部分が不自然に角度が尖っていたり、線がキレイに繋がっていなかったりした場合は、画像の赤い線のように、線を滑らかに引き直します。
この時、「修正前の出来上がり線の長さ」と、「修正後の出来上がり線の長さ」が変わらないように注意します。
寸法を変えてしまわないように注意しましょう。
ルレットで、型紙のタックを折り畳んだ部分に印しをつけます。
タックを開いて、ルレットの印しの跡を、なぞります。
縫い代を書き足します。
今回は、1cmで縫い代を書いています。
縫い代は、出来上がり線から「垂直」に指定の長さを測って、書きます。
片ひだタック|印の写し方 & 縫い方
基本のタックの縫い方
まずは布を裁断してから、布に印を写し取ります。
タック部分の縫い代にノッチ(切り込みによる印)を入れます。
基本的にはタックの印つけは上記のように、縫い代にノッチを付けたら、印付けは終わりです。(あとは、ノッチを合わせて布をたたみます。)
しかし、私が作業する場合は、「出来上がり線上の印」も写し取るようにしています。
タックはスカートのウエスト部分などに使用されることも多く、正確にたたまないとウエスト幅が変わってしまう可能性があります。
そのため、出来上がり線上にも印をとっています。
この印つけは、「切じつけ」で行うことが多いです。(しつけ糸を針に通し、型紙ごと布に糸を差してから、短く糸をカットして印にしています。)
もしくは、「型紙の印位置に目打ちで穴を開けて置き、そこから穴越しにチャコペンシル等で布に印をつける」方法もあります。
切じつけは、布の裏からも表からも確認でき、複数の布に同時に印をつけることも出来ます。
作業後に糸を取り除けば、チャコペンのように跡が残らないメリットもあるため、切じつけで印つけを行うことが多いです。
今回は、切じつけで印つけを行いました。
印を合わせて、たたみます。(※表から見た時に、斜線の高い方から低い方へたたみます。)
ずれないように、マチ針で固定します。
ミシンで縫い代を仮縫いして、タックを固定します。
- 本縫いした時に隠れる位置になるように、出来上がり線よりも外側(縫い代側)を縫います。
- 粗目ミシンで、返し縫いはせずに縫います。(後で外す場合もあるため。)
仮縫いした所です。
タックができました。
中縫いのタックの縫い方
次は「中縫いをする場合」の縫い方を説明します。
まずは布を裁断してから、布に印を写し取ります。
タック部分の縫い代にノッチを入れます。
今回は、縫い止まり位置も写し取らないといけないので、この印も写し取ります。
「縫い止まり位置」は、目打ちでぐりぐりと差して写し取ります。
それだけだと見えにくいので、今回は「切じつけ(しつけ糸で行う印)」で写し取りました。
印を合わせて、たたみます。
布の裏側が見えるようにたたみます。マチ針で固定します。
- 両端の印同士の位置が重なるように合わせてたたんでいます。
- 中縫いをしなければならないので、裏面が外側になるようにたたんでいます。
印と印をつなぐ直線を「縫い止まり位置」まで、縫い合わせます。
タックが開く位置(縫い止まり)は、力がかかる位置なので、ほつれないように返し縫いをしっかりしています。
印と印の間をまっすぐ縫いますが、難しい場合は、先に洋裁チョークやチャコペンシル等でまっすぐ線を引いてから縫うと、縫いやすいと思います。
中縫いした所です。
布を開いて、タックが斜線の高い方から低い方へたたまれている状態に整えます。
ミシンで縫い代を仮縫いして、タックを固定します。
- 本縫いした時に隠れる位置になるように、出来上がり線よりも外側(縫い代側)を縫います。
- 粗目ミシンで、返し縫いはせずに縫います。(後で外す場合もあるため。)
仮縫いした所です。中縫いのタックができました。
ボックスタック|印の写し方 & 縫い方
続いて、ボックスタックの縫い方を説明します。
基本のボックスタックの縫い方
まずは布を裁断してから、布に印を写し取ります。
タック部分の縫い代にノッチを入れます。
基本的にはタックの印つけは上記のように、縫い代にノッチを付けたら終わりですが、
正確にタックをたたみたいので、私は「出来上がり線上の印」も写し取るようにしています。
この印つけは、「切じつけ」で行うことが多いです。(しつけ糸を針に通し、型紙ごと布に糸を差してから、短く糸をカットして印にしています。)
もしくは、型紙の印位置に目打ちで穴を開けて置き、そこから穴越しにチャコペンシル等で布に印をつける方法もあります。
切じつけは、布の裏からも表からも確認でき、複数枚の布に同時に印をつけることも出来ます。
作業後に糸を取り除けば、チャコペンのように跡が残らないメリットもあるため、切じつけで印つけを行うことが多いです。
今回は試しに、「型紙の印位置に穴を開けて、チャコペンで印をつける方法」で写し取りました。
印を合わせて、たたみます。(※表から見た時に、斜線の高い方から低い方へたたみます。)
まずは片側をたたみ、ずれないようにマチ針で固定します。
反対側も同様に印を合わせて、たたみます。(※表から見た時に、斜線の高い方から低い方へたたみます。)
マチ針で固定します。
ミシンで縫い代を仮縫いして、タックを固定します。
- 本縫いした時に隠れる位置になるように、出来上がり線よりも外側(縫い代側)を縫います。
- 粗目ミシンで、返し縫いはせずに縫います。(後で外す場合もあるため。)
仮縫いした所です。ボックスタックができました。
中縫いのボックスタックの縫い方
次は「中縫いをする場合」の縫い方を説明します。
まずは布を裁断してから、布に印を写し取ります。
タック部分の縫い代にノッチを入れます。
今回は、縫い止まり位置も写し取らないといけないので、この印も写し取ります。
「縫い止まり位置」は、目打ちでぐりぐりと差して写し取ります。
それだけだと見えにくいので、今回は「型紙の印位置に穴を開けて、チャコペンで印をつける方法」で写し取ってみました。
※今回試しに、ボックスタックの作業は「型紙の印位置に穴を開けて、チャコペンで印をつける方法」で行いましたが、
片面からしか印が見えないため、中縫いするときに不便を感じたので、やはり「切じつけ(しつけ糸で印をつける方法)」の方がやりやすいと感じました。
印を合わせて、たたみます。
タックの印について
- 斜線の高い方から低い方へたたむ。
- 両端の線同士を合わせてたたむ。(※下のイラストのように「緑の線」と「赤の線」を合わせてたたむ)
タックをたたむと下記のような状態になります。
突き合わせになっている部分(2枚目のピンクの線の所)を縫い合わせる事で、中縫いします。
布の裏側が見えるようにたたみます。ずれないように、印を合わせたまま、マチ針で固定します。
- 両端の印同士の位置が重なるように合わせてたたんでいます。
- 中縫いをしなければならないので、裏面が外側になるようにたたんでいます。
印と印をつなぐ直線を「縫い止まり位置」まで、縫い合わせます。
タックが開く位置(縫い止まり)は、力がかかる位置なので、ほつれないように返し縫いをしっかりしています。
印と印の間をまっすぐ縫いますが、難しい場合は、先に洋裁チョークやチャコペンシル等でまっすぐ線を引いてから縫うと、縫いやすいと思います。
中縫いした所です。
タック部分を整えて、アイロンを掛けます。
ミシンで縫い代を仮縫いして、タックを固定します。
- 本縫いした時に隠れる位置になるように、出来上がり線よりも外側(縫い代側)を縫います。
- 粗目ミシンで、返し縫いはせずに縫います。(後で外す場合もあるため。)
仮縫いした所です。中縫いのタックができました。
つけ布の付け方
「タック布」と「つけ布」を中表で、合印を合わせます。
待ち針で止めます。
出来上がり線で、ミシンで縫い合わせます。
タックにアイロンを掛けます。
ミシン目にアイロンを掛けて、落ち着かせます。
布を開いて、縫い代にアイロンを掛けます。
裏面です。
表面です。