裾・布端の処理

裾の処理|三つ折り縫いのやり方・縫い方

「三つ折り縫い」の種類とやり方について説明します。

三つ折り縫いは布端の処理手法の一種で、布端を2回折り込んで始末します。

簡単にきれいに布端を処理できるので、スカートの裾やシャツの袖など、服作りでとてもよく使われる手法です。

 

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三つ折り縫いの種類|縫い代の幅について

三つ折り縫いには、下記の3種類があります。

1・基本の三つ折り縫い
2・完全三つ折り縫い
3・細い三つ折り縫い(三つ巻縫い)

それぞれについて、詳しく説明していきます。

 

1・基本の三つ折り縫い

折り返しの内側に来る縫い代部分を短め(5mm~8mm程度)にするやり方です。
(※下記の説明画像では8mmで統一して説明しています。)

内側の縫い代を短めにすることで、三つ折り部分の厚みを少し軽減できます。

 

基本の三つ折りをする時の「縫い代の測り方(決め方)」について説明していきます。

基本の三つ折りの縫い代幅

< ステッチ幅 >+1cm で計算できます。

 

(参考例1)裾から1cmの所にステッチをする三つ折り ⇒ ステッチ幅(1cm)+1cm=縫い代2cm

 

(参考例2)裾から2cmの所にステッチをする三つ折り ⇒ ステッチ幅(2cm)+1cm=縫い代3cm

 

(参考例3)裾から3cmの所にステッチをする三つ折り ⇒ ステッチ幅(3cm)+1cm=縫い代4cm

 

今回は分かりやすいように、キリよく「1cm幅」や「2cm幅」の所でステッチを掛けるように説明をしていますが、ステッチは1cm単位でこだわる必要はありません。

あくまで大事なのは、折った部分の際(キワ)を、裾から同じ幅で縫うことです

裾からのステッチ幅は1cmではなく8mmとかで設定して、縫い代幅を調整しても構いません。

(※同じ服を何着も作る場合は出来上がりが同じクオリティ・仕上がりとなるように揃えた方が良いため、「1cm幅のステッチ」といったように指示を揃えた方が良いです。)

 

2・完全三つ折り縫い

「完全三つ折り縫い」は、薄手の生地に向いたやり方です。

薄手の生地だと透けて向こう側が見えやすいため、内部の縫い代が短い「基本の三つ折り縫い」だと折り返し部分が透けて不格好に見えることがあります。

そのため薄手の生地の場合には、折り返し部分が透けないこの「完全三つ折り」の方がキレイな仕上がりになります。

 

完全三つ折りをする時の「縫い代の測り方(決め方)」について説明します。

完全三つ折りの縫い代幅

< ステッチ幅 >×2倍 で計算できます。

 

(参考例1)裾から1cmの所にステッチをする三つ折り ⇒ ステッチ幅(1cm)×2倍=縫い代2cm

 

(参考例2)裾から2cmの所にステッチをする三つ折り ⇒ ステッチ幅(2cm)×2倍=縫い代4cm

 

(参考例3)裾から3cmの所にステッチをする三つ折り ⇒ ステッチ幅(3cm)×2倍=縫い代6cm

 

 

3・細い三つ折り縫い(=三つ巻縫い)

細い三つ折り縫いのことを、三つ巻縫いといいます。

三つ折りの幅が3mm~6mm位の、細い三つ折りステッチのことを差します。

三つ巻縫いは、カーブがキツイ場合などに向いています

 

端のカーブがキツイ曲線の場合、幅が広い三つ折りだと曲線に対応しきれません。(三つ折り幅が広ければ広いほど、折り返したときに布端の長さが合わなくなるため)

そのため、曲線がきつい場合には、三つ巻縫いで処理することが多いです。

(※もしくは、「見返し」処理にすることもあります。)

 

三つ巻縫いのやり方について詳しく知りたい人は、「三巻縫いのやり方」をお読みください。

 

三つ折りの折り方|印付け&アイロン

三つ折りをするときの、印付けのやり方と、アイロンでの折り方を説明します。

 

一般的には、洋裁チョークやチャコペンで印をつけたり、アイロン定規を使って布端を測りながら折り目のアイロンを掛けたりする方法も多いかと思います。

 

私の場合は、三つ折り縫いをするとき「糸じつけ(切りび)」を使用することが多いです。

糸じつけ(切りび)で印をつけておくとアイロンで折るのがとても簡単にキレイにできるので、おすすめのやり方です。

 

基本の三つ折りの折り方

今回の三つ折り縫いでは、裾に3cmの縫い代を付けています。

 

それでは、下記の位置に糸じつけをします。

  • 赤い矢印の位置は、出来上がり位置です。
  • 青い矢印の位置は、布端から8mmの位置です。

※この糸を目安にして裾を折るようになるので、数cmおきに、裾に糸じつけをします

 

型紙を取り外します。

 

糸が抜けない程度に上の生地を持ち上げ、糸切ハサミで、糸を切ります。

 

糸が抜けにくくなるように、指などで押さえて糸を潰します。

 

印付けが出来ました。

 

糸じつけの印を 目印にして、布を折ります。

 

アイロンを掛けて、折り目を付けます。

 

糸じつけがあるので、裾から同じ幅で簡単に折り目を付けられました。

 

同じようにして、8mmの位置の糸じつけを目印にして、布を折ります。

 

アイロンを掛けて、折り目を付けます。これで三つ折りの折り目が付けられました。

 

完全三つ折りの折り方

今回の三つ折り縫いでは、裾に2cmの縫い代を付けています。

 

それでは、下記の位置に糸じつけをします。

  • 裾の、出来上がり位置です。

 

糸じつけの印を目印にして、裾の布を折ります。

アイロンを掛けて折り目を付けます。

折り目を開いたら、その折り目の少し手前に布端を合わせて、更に折ります。

 

最初の折り目より1~2mm手前に折るのがコツです。折り目ギリギリに合わせてしまうと、布端が内部に当たって厚みが出たりゴロついたりしてきれいになりません。

少し手前に折ることで、綺麗に収まるようになります。

これで三つ折りの折り目が付けられました。

 

 

 

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三つ折りのやり方|最初から通して解説

基本の三つ折りのやり方を、生地の裁断の所から縫い終わりまで、説明します。

 

ズボンの裾部分、もしくはスカートの裾部分をイメージして、やり方を説明していきます。

 

まずは、生地の裁断と、印付けをします。

(※本来、スカート等であれば前身頃と後ろ身頃で型紙が異なりますが、今回はあくまで三つ折りメインの解説のため手間を省いて布は2枚重ねて同じ形で一緒に裁断しています。)

写真で見えやすいのと、三つ折りの際にアイロンを掛けやすいため、印付けは「糸じつけ(切りび)」でやっています。

三つ折りにする裾の出来上がり線に沿って、糸じつけをします。

 

布端から 8mm の位置にも、糸じつけで印をつけます。

 

今回の三つ折り縫いでは、裾に3cmの縫い代を付けています。

  • 赤い矢印の位置は、出来上がり位置です。
  • 青い矢印の位置は、布端から8mmの位置です。

それぞれ、切りびで印付けをしています。こうして印をつけておくとアイロンで折るのがとても簡単になるので、おすすめのやり方です。

 

型紙を取り外しました。

 

糸が抜けない程度に上の生地を持ち上げ、糸切ハサミで、糸を切ります。

 

糸が抜けにくくなるように、指などで押さえて糸を潰します。

 

印付けが出来ました。

 

三つ折りにする(アイロン)

それでは、先に三つ折り部分をアイロンで折っておきます。

平らな内にアイロンで折っておくとスムーズなので、後の作業が楽になります。

糸じつけの印を目印にして、布を折ります。

 

アイロンを掛けて、折り目を付けます。

 

糸じつけがあるので、簡単に綺麗に折り目を付けられました。

 

同じようにして、8mmの位置の糸じつけを目印にして、布を折ります。

 

アイロンを掛けて、折り目を付けます。

これで三つ折りの折り目が付けられました。

 

脇線を縫い合わせる

脇線を縫い合わせるため、マチ針で固定します。

アイロンで折った三つ折り部分は開いた状態で、脇線を合わせます。

 

ミシンで脇線を縫い合わせます。

 

脇線の裾部分は、端近くまで縫って返し縫をします。

 

脇線は縫い終わったので、脇線部分の糸じつけの糸は抜いておきます。

糸じつけ(切りび)の糸は、不要になった段階で、不要になった箇所だけ、しつけ糸を抜いていきます。

 

脇線の縫い代(縫い代を開く場合|片倒しの場合)

脇線が縫えたので、脇線の縫い代にロックミシン(裁ち目かがり)を掛けていきます。

縫い代の処理は、そのとき作成するアイテムや布の厚さなどによって、縫い代を開くかそれとも片倒しにするか、選択します。

今回は、両方のやり方を説明します。

縫い代を開く場合は、脇線を縫い合わせる前に、先に布端にロックミシン(裁ち目かがり)をしておいても良いです。

今回は、脇線を縫い合わせた後にロックミシン(裁ち目かがり)をしました。

 

まずは、縫い代を「開く場合」です

縫い代を割り開いて、布端1枚だけにロックミシン(裁ち目かがり)を掛けます。

 

もう片方の縫い代にも、同様にロックミシン(裁ち目かがり)を掛けます。

 

ミシンの縫い目にアイロンを掛けて、縫い目を落ち着かせます。

アイロンを掛けて、縫い代を割り開きます。

 

次は、縫い代を「片倒しする場合」です

脇線の縫い代を、2枚一緒にロックミシン(裁ち目かがり)を掛けます。

ミシンの縫い目にアイロンを掛けて、縫い目を落ち着かせます。

脇の縫い代を、後ろ身頃側へ倒して、アイロンを掛けます。

これで、それぞれのやり方で、脇の縫い代の処理ができました。

ここから、三つ折り縫いの仕上げに移っていきます。

 

三つ折り縫いのステッチを掛ける

先ほど、事前に三つ折りの折り目をアイロンで付けています。

脇線を縫い合わせた部分は、折り目が不安定なので、折り目を付け直して置きます。

 

脇線の縫い代を片倒しにしている場合、布の重なりによる厚みが気になる場合には、縫い代の角をカットしておくと多少厚さが軽減されます

 

裾を三つ折りにして、マチ針で固定します。

まずは、脇線や中心線などの、要所からマチ針で固定します。

 

要所を留めた後に、その間もマチ針で固定をします。

 

ステッチを掛ける向きですが、下図のように、折り目が見えるように裏から掛けても構いません。

その場合のメリットは、折り目から落ちて縫い落すような失敗がない事です。

 

また、下図のように、表から縫っても良いです。

その場合のメリットは、表側から縫った方がミシンの縫い目が綺麗なことです。ステッチが綺麗に仕上がります。

ただし、折り目が見えないので、縫い落してしまわないように注意が必要です。

 

ちなみに、袖のように狭い筒状になっているところを表側から縫う場合は、ミシン本体の手前を外して、筒になっている部分をミシンにはめ込んで縫います。

 

表から縫う場合や、滑りやすかったりしてズレやすい布地の場合は、ミシンステッチを掛ける前にしつけ縫いをしておくとキレイに縫いやすくなります。

三つ折り幅が均等になっているか、気を付けつつ、しつけ縫いをします。

 

今回は表からステッチを掛けました。

  • 今回は、筒状の部分を縫うので、縫い始めは返し縫いはしなくてもOKです。
  • 正面などは目立ちやすいため、目立ちにくい脇線辺りから縫い始めます。
  • 今回のステッチ位置は裾から2cmの位置にしています。

 

裾から2cm幅をキープしながら、裾を一周ぐるっとステッチを掛けます。

縫い初めの位置まで一周して来ました。

 

縫い初めのミシン糸の上を数cm重ねて縫います。最後は返し縫いを2~3針してから糸をカットします。

 

ステッチを掛けた所です。(裏面)

しつけ縫いをしていたおかげで、折り返した所を縫い落すことなく、均等にステッチを掛けられました。

 

不要になったしつけ糸を抜き取って完成です。

 

どこを測っても裾から2cm幅になるよう、きれいに縫えました。

 

 

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