袖、衿など

袖のあき【剣ボロ(ケンボロ)】の縫い方

袖の縫い方で悩んでいませんか?

今回は袖のあきの一種である「剣ボロ(ケンボロ)」の付け方について、詳しく説明します。
※剣ボロは、ワイシャツなどによく使われている『あき』です。

「剣ボロの縫い方が知りたい」「本の説明通りにやったけど、何故かうまくいかない」といった悩みが解決するように、写真付きで丁寧に解説していますので、簡単に実践できると思います。

 

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名称・パーツの型紙について

●名称について。

屋根がついている方が「剣ボロ(ケンボロ)」

下になる四角い方が「下ボロ」です。

※右袖と左袖でそれぞれ必要になるため、鏡写しのような状態で左右で2セット必要です。

 

●剣ボロと下ボロの型紙について

  • 今回は、下ボロは、幅 1cm。ケンボロは幅 2cmで、型紙を作っています。
  • 長さは、下ボロは 7cm+上下に縫い代を各 1cm。剣ボロは、それにさらに屋根部分 3cmが付いています。

※横の縫い代について。

剣ボロは縫い代各1cmで取っています。
下ボロは、幅1cmの出来上がりのため、縫い代も1cmだと工程で折りたたむときに中がごろつく恐れがあるため、短めに0.9cmの縫い代にしています。

※幅や長さは、袖のデザインに合わせて大きさを変えて構いません。
(実際に縫っていくときに、袖の切り込みの長さや、縫う位置などもそれに伴い変わりますので、その点は注意してください。)

袖は右袖と左袖がありますので、剣ボロを左右反転させた形で、もう1組必要になります。

 

剣ボロの縫い方

step
1
剣ボロと下ボロが2個ずつ取れるサイズに布を裁ち、アイロンで接着芯を貼ります。

※小さなパーツですが、斜めったりしないように、しっかりと地の目を整えて(布の縦と横の布目を合わせて)パーツを取ります。その方が仕上がりに「きちんと感」がでます。

 

step
2
縦に2個取れる長さで、裁ちます。

型紙に幅を合わせて、布を裁ちます。

剣ボロ、下ボロともに、縦に2個ずつ取れる長さになっています。

 

step
3
アイロンで折り目を付けます。

切り分ける前に、2個分の長さのまま、先にアイロンを掛けます。

まずは、下ボロをアイロンで折ります。

  1. 片側の縫い代0.9cmを折ります。
  2. もう片側の縫い代も折ります。(縫い代ではなく、「折った状態が2cm」になるように測って折ります。)
  3. 最後に、半分に折ります。(2cmを半分に折るので、1cm幅になります。)

※出来上がり幅をきちんと測って、丁寧に折りましょう。

 

つぎに、剣ボロをアイロンで折ります。

  1. 片側の縫い代1cmを折ります。
  2. もう片側の縫い代も折ります。(縫い代ではなく、「折った状態が4cm」になるように測って折ります。)
  3. 最後に、半分に折ります。(4cmを半分に折るので、2cm幅になります。)

※出来上がり幅をきちんと測って、丁寧に折りましょう。

 

step
4
型紙のサイズにそろえて、2つに裁ち分けます。

剣ボロは、2個目は「左右反転させた形」で裁つことを忘れないよう気を付けましょう。

 

step
5
屋根部分の縫い代もアイロンで折ります。

※左右対称のきれいな山になるように折ります。

 

step
6
袖の表面に、切り込み位置の印を描きます。

※袖口側に、縫い代1cm+7cm(※「下ボロ」の出来上がりの長さ)の線を描き、そこからV字に線を伸ばします。

※写真の袖パーツは、下の図のとおり、袖の一部を切り取った状態の小さなサンプルで説明しています。

 

※切込み位置の印について。

表面ですが、隠れる場所なのでチャコ等で直接書いても問題はないかと思います。(ただし薄目に書いた方がよい)

気になる場合は、印の頂点となる部分に「目打ちで点を付ける」だけにするなど、目立たない印のつけ方にされると良いでしょう。

 

step
7
切り込み位置の片側に、剣ボロを配置し、固定します。

  • 袖は表面が上、剣ボロは表面が下、の「中表」の状態です。
  • 剣ボロの屋根がついている方を、切込み印へ沿わせます。剣ボロのアイロンで付けた折り目が、切込みの印から1cmの位置にくるように測って配置します。
    (※2cm幅の剣ボロにするため、その半分の1cmの位置に配置します。)

 

step
8
ミシンで縫い付けます。(返し縫もします)

※アイロンで折った位置より、ほんの少し内側(切り込み線側)を縫います。

※高さは、下ボロの出来上がりの高さと同じ7cmの所まで縫います。

※「少し内側を縫う」のは、出来上がりサイズが小さくならないようにするためです。アイロンで折った位置ピッタリを縫ってしまうと、その位置が袖布に固定され、折りたたまれて曲がるのに必要な面積分だけ出来上がりサイズが小さくなってしまいます。それを防ぐためです。

 

step
9
逆側に、下ボロを配置して、固定します。

※剣ボロと同じく、切込み線から、アイロンで付けた折り目までが1cmの位置にくるように測って配置します。
(剣ボロの時の1cm + 今回の1cm =剣ボロの出来上がりサイズの2cm です。)

 

step
10
ミシンで縫い付けます。(返し縫もします)

※剣ボロと同じ高さ7cmの所まで縫います。(縫いすぎると、縫い糸に引っ張られて窮屈な出来上がりになる場合があるので。)

※剣ボロのときと同じく、少し内側(切り込み線側)を縫います。

 

step
11
袖の切り込み線を切ります。

※剣ボロと下ボロは切らないように避けて、袖布だけ切り込みます。

 

裏側から見たところ。

 

step
12
下ボロを半分に折って、裁ち端を挟みます。

アイロンで折り目を付けているので、折り目に従ってたたむだけです。

たたむときに、下ボロの間に縫い代を挟みます。(切れ込みの角に負担が掛からないように、引っ張ったり力が掛からないように気を付けましょう。)

 

step
13
ステッチを掛けます。

裏側を縫い落さない様に裏側の幅もそろえて、気を付けて縫います。

見た目に出るので、真っ直ぐなステッチになるように気を付けましょう。

 

step
14
剣ボロも、同じように折って、ステッチを掛けます。

アイロンで折り目を付けているので、折り目に従ってたたむだけです。

たたむときに、剣ボロの間に縫い代を挟みます。(切れ込みの角に負担が掛からないように、引っ張ったり力が掛からないように気を付けましょう。)

下ボロと同じく、裏側を縫い落さないように裏側の幅もそろえて、気を付けて縫います。

 

step
15
切り込みを入れたY字の三角部分を、中に折ります。

裏面の、切込みの角を中に入れて裁ち端を隠します。

角がうまく入らない時は、目打ちを使って角まで入れます。

 

step
16
形を整えて、ケンボロの屋根部分を、渦(うず)を巻くように、ステッチを掛けます。

下の写真(左側)のように、渦を巻くようにステッチを掛けるようになります。

その際に、裏面の三角を折り込んだ部分の底辺(写真右側)にあたる位置が、渦の下にあたるステッチで縫えるように、表面に軽く印を付けます。

※ヘラなどで押さえたり、消えるチャコで軽めに印をつけたりして、表面から分かるようにしておくとよいです。

 

ステッチを掛けるために、渦のスタート位置に針を合わせます。
下ボロと重なる部分を合わせ直し、下ボロがはみ出さずにきれいに隠れる(ただし奥に入りすぎない)ように合わせて、ミシンの押さえ金の下に配置します。

丁寧に位置を合わせて針を下ろし、ステッチを掛けます。

※この部分のステッチを掛けるときには、ミシンの「縫い目の長さ」をいつもより少し短めに設定しておくと、ステッチをきれいに掛けやすくなります。

(もう一目進むとはみ出してしまうけど今の位置のままだと端まで遠すぎる…ということが減って、ちょうどいい位置でステッチを掛けやすくなります。)

写真のように縫い進めていきます。

インサイドベルトの切れ端などを挟んで、段差を埋めたり、定規代わりに当てると、まっすぐきれいに縫いやすくなります。

 

できあがり。(表)

できあがり。(裏)

 

 

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