名称 | ダーツ |
概要・役割 |
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関連・類似 手法 | タック 、 ギャザー 、 プリーツ |
※ダーツを倒す方向について。
- スカートやワンピースのウエストなどの「縦方向のダーツ」は、体の中心(中央)に向かって倒すのが基本です。
- 胸ダーツなどの「横方向のダーツ」は、縫い代を上に倒すのが基本です。
※ただし、教わる教材の違いや、布の重なりで生じる厚みを分散する目的、デザイン性、そのほかの理由などで違う方向に倒すこともあります。
※画像では、見えやすくする為にあえて違う色の糸を使用しています。
目次
ダーツの型紙の修正をする & 縫い代をつける
今回は、一例として、トップスの胸ダーツ部分の周辺だけを長方形に切り取って説明します。
型紙のダーツ部分を、実際にダーツを縫った場合と同じになるように、たたみます。
まず、画像の赤い点の場所の、「ダーツの先(ダーツ止まり)」の位置で型紙を折り畳みます。
先にこの位置を折ることで、型紙のダーツ部分がたたみやすくなります。
ここを折っておかないと、紙が浮いてうまくダーツ部分がたためません。
ダーツ止まりで折りたたんでおかないと、下の画像のように紙が浮いてしまいます。
出来上がりの形に、ダーツをたたみます。
実際に縫うときには「縫い代をどちらに倒すのか」を考えて、その方向へ合わせて折りたたみます。
どちらに倒すかで、縫い代の形が変わりますので、注意しましょう。
下の画像では、今回は縫い代を下に倒すようにしています。
型紙の補正をします。
ダーツ部分を折りたたんで突き合わせたとき、出来上がり線の部分が不自然に尖っていたり線がずれていたりした場合は、線をが滑らかに繋がるように引き直します。
線を引き直すときは、「修正前の出来上がり線の長さ」と、「修正後の出来上がり線の長さ」が変わらないように注意します。
もし寸法を変えてしまうと、
ダーツがある部分が袖ぐりであれば、縫い合わせる袖の尺と合わなくなってしまいますし、
ダーツがある部分がウエストであれば、縫い合わせるウエストベルトの尺と合わなくなってしまいます。
なので、寸法を変えないように注意しましょう。
今回は、線のつながりが少しずれていたので、修正しました。
ダーツを開いて、縫い代1cmを書き足しました。
縫い代は、出来上がり線から「垂直」に指定の長さを測って、書きます。
もう一度、折りたたんで線のつながりを修正します。
縫い代の繋がりを、滑らかになるように書き直しました。
ダーツの間を書くために、「複写紙」と「ルレット」を使います。
複写紙をダーツの折りたたんだ部分に挟み込みます。
ルレットで、線の上をなぞります。
出来上がり線と、縫い代、両方をなぞっています。
ダーツの間に、このように形が写し取れました。
薄い所もあったので、きれいに線を清書しました。
これで、型紙のダーツ部分が出来ました。
ダーツの印のつけ方(型紙を写す)|切りじつけ
ダーツの、ちゃんとした切じつけのやり方
布の上に型紙を置いて固定します。
裁ちバサミもしくはロターリーカッタ―などで、線に合わせて布を裁断します。
印をつけ終わるまでは、まだ、型紙を動かさないでください。
手縫い針と、しつけ糸を使って、切じつけをします。(=しつけ糸を印にする方法)
写真のように、ダーツの線通りに、しつけ糸で広めの間隔で型紙ごと布を縫います。
印をつける位置として、「ダーツ止まり(ダーツの先)」と「ダーツ線と出来上がり線との交点」は特に大切なポイントです。
ダーツの線に沿ってしつけ糸で縫ったら、しつけ糸を間でカットします。
糸が抜けないように注意しつつ、型紙を外します。
このように、糸でダーツの形が写し取れています。
「ダーツ止まり」のように頂点となる点は、四点で囲むようにすることで、その線(写真の黄色い線)が交わる位置がそのポイント位置と分かるようになっています。
ちなみに、違う布の画像ですが、このように2枚の布を重ねて一気に印をつけることも出来ます。
この場合は、糸を通した後、糸が抜けない程度に上側の布を軽く持ち上げてから、布と布の間で糸をカットします。
万が一、しつけ糸が抜けてしまうと、印が消えることになります。なので、抜けにくいように対策をしておきます。
- 指やアイロンでプッシュ(押さえる)することで、糸を倒すと抜けにくくなります。
- また、画像では糸がまだ長いままですが、2~3mm程度の長さになるように、糸の長さをカットしておきます。(長いままだと、引っ掛かって抜けやすい)
このくらい短くカットして大丈夫です。
ダーツの、簡単な切じつけのやり方
普段、私がダーツの切じつけをするときは、もう少し簡易的に行っています。そちらの方が簡単に手早くできるので、やり方をご紹介します。
まずは、同じように型紙を布の上にのせ、ロータリーカッターなどを使って、裁断をします。
しつけ糸と手縫い針を使って、切じつけを行います。
この時に、大事なポイントとなる下記3点だけに、糸を通します。
- 「ダーツ止まり(ダーツの先)」
- 「ダーツ線と出来上がり線との交点」×2箇所
この3カ所にさえ印をつければ、きれいにダーツが縫えます。
ちなみに、通常のやり方と同様に、糸が抜けにくくなるように糸をプッシュしたり、短く糸をカットしたり対策をしておきます。
ダーツをミシンで縫う
ダーツの中心で、布を中表で二つ折りにします。
(※「中表」は、漢字の通り、布の表側を中(内側)にすると言う意味です。)
その時に、「ダーツ止まり」が折り山にくるよう、しっかり位置を合わせて折ります。
「ダーツ線と出来上がり線との交点」同士が、しっかりと合わさるように、気を付けて折りたたみます。
今回の布でやったところです。↓
ダーツを印どおりに合わせて、マチ針で固定します。
ミシンの針先をダーツの線上にしっかり位置を合わせて、針を下ろします。
縫い始めは返し縫いをして、ダーツの先端に向かって縫っていきます。
ダーツを縫うときに、印の糸と糸の間に定規替わりとなるものを合わせて置くと、まっすぐきれいに縫いやすくなります。
私は、インサイドベルトを切ったものを使っています。
ダーツ止まり付近は、特に慎重に縫います。
布端0.1cmぎりぎりを、数mm程度平行に縫います。
最後は2~3針、返し縫をしてから糸を切ります。
印のしつけ糸を抜いたら、ダーツの縫いは完了です。
引きつりやすい生地など、ダーツ止まりの返し縫いが難しい場合の処理について。
その場合は、ダーツ止まりの返し縫いをしないで、糸を10cm程度伸ばして切ります。
その糸を、一度ふつうに結んでから、糸を2本揃えて固結びにします。
最後に針にこの糸を通して、縫ったダーツの中(袋状になった布の中)に差し、適当な幅で外側に出して糸を切ります。
これで糸の残りがダーツ内部に仕舞われた状態になります。
ダーツにアイロンをかける
ダーツを縫った後は、アイロンを掛けます。アイロンの掛け方について、説明します。
布を閉じたまま、ダーツの縫い目(縫い始めから、ダーツ止まりの手前まで)にアイロンをかけます。
これでダーツの折山を作ります。
この時点では、ダーツ止まりより先はアイロンが当たらないようにします。
布を広げてから、「ダーツ止まり」よりも先(下)の範囲に、アイロンをかけます。
- ダーツによって、カーブを帯びた立体になっています。立体をつぶさないように気を付けます。
- ダーツの先端(ダーツ止まり)にはアイロンをかけません。ダーツの先をつぶしてしまうと小さなへこみ(えくぼ)になってしまいます。
ダーツを片倒しにします。
アイロンを、ダーツの折山にぎりぎり乗せないように気を付けながら片側からアイロンをかけます。
折山に乗せてアイロンをかけると、布の表側にダーツの跡(あたり)が出てしまうので、注意しましょう。
これでダーツが出来上がりました。
(補足)厚地や、アイロンが効きにくい生地のダーツにはコバステッチがおすすめ
厚地であったり、アイロンが効かなかったりして、縫い代が落ち着かない生地の場合には、ダーツを縫った後、縫い代を倒している側へコバステッチをすると縫い代が起き上がらなくなります。
縫い目の際にステッチをします。
縫い代を抑えるためだけでなく、デザインとして取り入れる場合もあります。
ダーツを曲線(カーブ)で縫いたい
ダーツは、体にフィットさせる(体の丸みに沿わせる)ための役割があります。
人間の体は実際には直線ではなく、曲線で出来ています。
そのため、真っ直ぐな直線でダーツを縫うよりも緩やかなカーブ(曲線)で縫うことで、より体のシルエットに自然に沿った仕上がりにすることができます。
ここからはそのやり方について、説明をします。
型紙のダーツを曲線に直す
下図は通常どおりの直線で書かれたダーツです。
カーブ定規を「ダーツ止まり」から合わせて、直線を「緩やかな曲線(カーブ)」に書き直します。
この時、下記のようにならないように気を付けます。
- ダーツ幅を変えないこと
- ダーツ止まりの位置を変えないこと
- ダーツの先がくっついて線同士が重なってしまわないこと
印を写す(チャコペーパー) & ダーツを縫う
型紙を、生地に写します。(今回は縫いやすいように、チャコペーパーとソフトルレットで印を写しました。)
生地と型紙の間にチャコペーパー(チャコピー)を挟み、ソフトルレットで体重を掛けてなぞることで、印が写せます。生地の裏側に写します。
表に透けてしまうような薄い布や、真っ白な布のような、表に響きそうな生地には使用しない方がよいので、その場合は、他の方法で印を写します。
直線のままのダーツと、曲線に直したダーツです。
印を合わせて折りたたみ、待ち針で固定します。
ミシンでダーツを縫います。印の通りに縫います。
縫ったところです。
直線のままのダーツと、曲線に直したダーツです。
アイロンでダーツを倒します。
アイロンを掛け終わったところです。
直線のままのダーツと、曲線に直したダーツです。
ダーツ部分をペタンコにして、比べてみました。
曲線で縫った方は、優しくカーブを描いているのが分かります。
ダーツの幅が大きい場合ほど、この違いも顕著になってくると思います。
今回使用したカーブ定規は下記の商品になります。
私はカーブ定規はこれひとつしか持っていないのですが、全長約43cmくらいある大き目なカーブ定規です。
脇線のカーブとか、ウエストラインとか、パターン作成や型紙の補正などにとても役立っているので、まだカーブ定規を持っていない方であれば、おすすめします。